近藤 隆春 TAKAHARU KONDO
私は入社して長年、製織部門でタオルづくりに携わっています。タオルの「織り」で面白いのは、同じように糸を織機にセットし、同じ作業をし織機を動かしても、同じタオルを作るのは難しい点にあると思います。そのため、一つ一つの糸の調整や機械の調整にはじまり、知識と経験から導かれるいろいろな要素を頭に入れながら、全体を見極めて判断していく必要があります。楠橋紋織は時代に合った新しい商品づくりに挑戦しているので、試作品のオーダーも多いんですよ。「この糸でこの風合いを出したい」という企画部門からの要望に対して、「こことこの部分を変えればできるだろう」と職人としての提案も行います。企画のアイデアと現場の技量で、新しいタオルは生まれるわけです。
私は今治地域でも数十人しかいない、「今治タオル工業組合社内検定」の1級を取得しています。社内では私だけなので、若い人たちに技術を伝えて、社内の認定者を増やしていきたいですね。技術は簡単に習得できるものではありません。
私が取得できたのは、技術探求の気持ちがあったことはもちろんですが、働きやすい環境だったことが大きいと感じています。先輩や後輩に恵まれたからこそ30年も務められ、技術も身についたと思います。