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経糸たていと緯糸 よこいと となる2つのDNAで
今治から世界を目指すタオルづくりを

楠橋紋織 代表取締役社長

楠橋 功 ISAO KUSUBASHI

楠橋紋織のDNA

今治市域では江戸時代頃から綿作が盛んに行われ、人々がそれを紡ぎ小幅木綿を製織していました。明治時代になると改造織機によりタオルの製織がはじまり、大正から昭和にかけて徐々に盛んになっていきます。その後、ジャカード織を特色に産地が成熟し、大阪泉州と国内シェアを二分する大産地にまでになったのです。
 楠橋紋織の黎明期にあたる昭和初期頃には、楠橋秀雄と俊夫の兄弟が両輪となり会社を成長させていきました。弟の俊夫は技術者として生産技術や品質向上の研鑽に情熱を注ぎます。俊夫は実直に良質のタオルづくりにまい進し、彼のDNAは現在に至るまで「品質にこだわる」楠橋紋織のものづくりに息づいています。
 一方の秀雄は営業・経営面から弟のタオルづくりを支え、戦後は戦地で亡くなった弟の意志と思想を引き継いで楠橋紋織を立て直し、昭和天皇の行幸という名誉に預かるなど、今治市域を代表する企業にまで成長させました。秀雄の口ぐせは「きれいな職場でないと一流の仕事はできない」で、多忙な業務の隙を見つけては工場内をよく掃除をしていたといいます。タオル工場は綿埃がたまりやすく、掃除には手間とコストがかかりますが、「社内・工場を美しく」は現在の楠橋紋織でも社員一同で守っています。

技術を結晶させたハウスブランド

秀雄と俊夫の2つのDNAを経糸と緯糸に、楠橋紋織は今日まで操業してきました。これからは、当社の強みである「品質」を生かして、世界で通用する高品質タオルの生産に活路を見出したいと考えています。
 その一つが2018年から販売を開始したハウスブランド「ROYAL‐PHOENIX of the seas」です。もともとタオル文化は欧米で誕生したもので、タオルを肌に当てるだけで水分を吸わせます。ですから、着るだけで水分を取ってくれるバスローブ文化もあり、厚手で重みのあるタオルが好まれます。
一方で日本は手ぬぐいの文化です。薄くて軽い手ぬぐいで、「拭って」「擦って」という使い方で体についた水分を取ります。「ROYAL‐PHOENIX of the seas」では2つの文化の融合を目指して、吸水性に軽さ、拭きやすさなどに注目して開発を進めました。海外の模倣ではなく、素材や加工に日本特有の細やかさを加味したブランドです。

100周年に向けた働き方改革

私は世界のハイセンスな場所で注目されるタオルを今治から創出したいと考えています。例えば、広島県安芸郡熊野町の熊野筆は、世界の一流メイクアップアーティストが愛用しています。そういう今治や社内の若者に夢を与えるようなタオルづくりを私は目指しているのです。ハウスブランドを楠橋紋織のフラッグシップとし、OEMやオリジナルブランドのタオルを生産しながら、今治のタオル業界全体の活性化に寄与できる企業運営をしていきたいと考えています。
 「ROYAL‐PHOENIX of the seas」をはじめ、現在は創業100周年となる2031年に向けたいくつもの取り組みを進行させています。大きなものは環境改善です。工場勤務のマイナスイメージを変えるために、制服の大幅な見直しを2018年から本格化させます。着る物によって
人は気分が変わりますし、工場全体の雰囲気にもプラスが訪れると考えています。また、社員の健康を考える施策の一つとして、昼食改善にも着手したいです。今後もどんどん生産効率を高める働き方改革にもチャレンジしていきたいですね。楠橋紋織には「ものづくり」が好きな人達が集まっています。そのやる気や情熱をより発揮しやすいように変革したいんです。もちろん、一人ひとりが担当する作業は、タオルづくりの長い工程の一部分です。しかし、全員がお客さまの笑顔を感じられるよう、社内コミュニケーションを充実し、全員で同じ方向を向き、喜びを分かち合える推進力のある社内体制を整えたいわけです。楠橋紋織が創業した当時は強力な一枚岩だったと思います。100周年に向けて、楠橋紋織が積み上げてきた良い文化と歴史をもう一度見直し、次の時代に向かって歩みを続けていきます